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コラム

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コミュニケーションと雑談力(vol.53)

2014.06.18

雑談力が求められている?

最近雑談力という言葉をよく耳にします。雑談力というのは、目的志向ではなく、状況に合わせた何気ない会話を相手と行う能力であり、また、コミュニケーション能力をはかる重要な要素になりつつあります。しかし、この雑談がなかなか難しいという声がいろいろな調査で明らかになっています。ある調査では、自分の雑談に自信があると答えた20代はわずか3割で、あとの7割は苦手意識をもっており、そのなかで、「話のネタがない」「基本的に自分以外の知識が乏しい」「人とうまく話せず沈黙が続く」といった意見が出されています。雑談力がない、イコール、コミュニケーション能力がないと判断される風潮でもあるようです。そのような背景があるからか、インターネットで「雑談力」と検索すると、具体的なアドバイスが数多く提案されています。多くの人が苦手意識を持ちつつある雑談力。さて、みなさんは自信をもって雑談力あります!と言えるでしょうか?

うまく雑談できない...

私はこの雑談に悩んだ時期がかなりあります。それは引きこもりの方を対象としたデイケアで働いていたときです。デイケアでは、様々なこころの問題をもった青年期の方たちと日中の活動をするのですが、参加者のみなさんは非常に対人緊張が強く、人間関係を作りにくいという課題をお持ちでした。ともに活動をする、ともに時間を過ごすということは「雑談」なくして成り立たせることは難しく、メンバーの方はもちろん、私たちにも「雑談力」が試される場でもあります。当初私も雑談をしようとすればするほど沈黙が続くという日々が続きました。こんなに「雑談」ということと向き合った日々はありませんでした。

雑談上手な人たち

悶々とする日々の中、私にヒントを与えてくれたのは先輩の臨床心理士の方の動きでした。ある男性心理士は非常に率直に喜びを口にする方でその喜ぶ姿がこちらもなんだか楽しくさせてくれるのでした。たとえば、活動の一つとしてボーリングに行き皆でゲームをするのですが、誰かがストライクを出すと、「すげーなー!」とハイタッチをし、ストライクのためのフォームの作り方について無口なメンバーと話していました。そんな時、無口なメンバーはいつも見せない笑顔をみせてくれました。ある女性の心理士は生活の知恵がふんだんにあり、それとなく生活の知恵を教えてくれたり、またある女性心理士の方は自分の出身地である山形県の話を興味をそそるかたちで話してくれました。私が一番こころを揺さぶられたのは、みなさんがメンバーの一人一人の動きをそれとなく見ており、独りになっているメンバーや場になじめずに困っているメンバーがいると誰が言うでもなく雑談している姿でした。その姿を見たときに、雑談というのは、話すこと、だけではなく、タイミング、という視点も非常に重要であるということに気がつきました。

雑談力に必要なもの

このタイミング力には、相手を「察する」という力が不可欠です。察するのは難しい、と思われるかもしれませんが、本来人間は相手が感じるであろう感情を想像し、自分がどのように行動すればよいのかを自然と決めているのです。たとえば、相手が機嫌が悪そうな様子をしていれば、話しかけるのをやめておこうと思ったりしませんか?このことを心理学では、心の理論といっています。心の理論とは他者の感情や行動を予測する能力のことを指し、この能力が発揮されないと人間関係に障害が出てしまうことになりかねません。人間関係を構築するうえで、察する、ということはだれもが程度の差こそあれ無意識に行っており、察することが上手な人はコミュニケーション上手ともいえるわけです。私が出会った雑談上手な心理士さんたちも、非常に察する力がある人たちでした。この察する力を十分に使って、タイミングよく雑談できたら、きっとコミュニケーション能力もあがるでしょう。ぜひ、みなさんも、雑談力を上げるために、まずは相手の気持ちを充分察する、というところから始めてみたらいかがでしょうか。

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